耳つぼダイエット ブログ
代謝(メタボリズム)とは、食べたものを
エネルギーに変えたり体の構成要素に
作り替えたりする体内の化学反応全般を指します。
体重管理において特に重要なのはエネルギー代謝で、
摂取カロリーと消費カロリーのバランスが崩れると
肥満や痩せの原因になります。
代謝には大きく基礎代謝(何もしなくても消費されるエネルギー)
と運動代謝があります。
◆過食や不適切なダイエットによって起こりやすい代謝異常
主な種類とそのメカニズムを見てみましょう。
基礎代謝の低下(燃費が悪くなる)
基礎代謝とは心臓の拍動や呼吸など生命維持に
最低限必要なエネルギー消費量のことで、
1日の総消費エネルギーの約60~70%を占めます。
基礎代謝量が高いほど何もしなくてもエネルギーを
消費する量が多いため太りにくく、
逆に低いと太りやすい体質になります。
基礎代謝は加齢による筋肉量の減少で下がるほか
不規則な生活や過度な食事制限によっても低下します。
睡眠不足や過労などで自律神経が乱れると
代謝が徐々に落ちてしまいます。
また極端なダイエットで必要な栄養素(特にタンパク質)
を欠くと筋肉が減り、基礎代謝が下がります。
基礎代謝が落ちるとどうなるでしょうか?
エネルギー消費が少ない体になるため、
同じ食事量でも余ったエネルギーが脂肪に変わり
蓄積しやすくなります。
結果として「痩せにくく太りやすい」体質に。
また基礎代謝低下は体温の低下、疲れやすさ、便秘など
様々な不調にもつながります。ダイエットで急激に体重を
落とすと筋肉まで落ちて基礎代謝が下がり、
リバウンドしやすくなることが知られています。
筋肉は身体のエンジンに例えられ、エネルギー消費の多い
組織なので、筋肉が減ると燃費が悪くなるのです。
さらに筋肉が減ると食欲を増進させるグレリンという
ホルモンが増え、食欲が余計に増す傾向も報告されています。
筋肉量を維持する生活(後述するように運動や十分なタンパク質摂取)が重要です。
糖質代謝の乱れ(インスリン抵抗性など)
糖質代謝とは糖分(炭水化物)をエネルギーとして利用・
貯蔵する仕組みです。そのカギを握るのがインスリンという
ホルモンです。インスリンは血液中のブドウ糖を各細胞に
取り込ませ、血糖値を下げる働きを持ちます。
しかし過食や肥満によってインスリン抵抗性と呼ばれる状態に
なることがあります。インスリン抵抗性とは、
「インスリンの効きが悪くなった状態」です。
十分インスリンは出ているのに体が反応せず、
血糖を細胞に取り込めなくなるのです。
結果として血糖値が下がりにくくなり、膵臓は血糖を下げようと
さらに大量のインスリンを出すようになります。
この状態が続くと膵臓が疲弊し、いずれ2型糖尿病を発症しや
すくなります。インスリン抵抗性は肥満(内臓脂肪の増加)や
過剰な栄養摂取が大きな原因です。
特に高脂肪食や運動不足、慢性的なストレスも抵抗性を悪化させます。
一例としては、肥満で脂肪組織が増えすぎると炎症性物質が分泌され、
これがインスリンの働きを妨げてしまうことが知られています。
糖質代謝の乱れは、血糖がエネルギーとして使われずに脂肪に回され
太りやすくなるだけでなく、慢性的な高血糖により血管や神経の障害を
引き起こすリスクもあります。
「隠れ糖尿病」「予備軍」の段階でも、脂肪肝やメタボリック
シンドロームにつながる可能性がありますので注意が必要です。
脂質代謝の乱れ(脂質異常症)
脂質代謝とは脂肪やコレステロールの生成・運搬・蓄積・分解の
サイクルです。食事から摂った脂肪や体内で作られたコレステロールは、
普段一定の濃度に調節されています。しかし過食や遺伝的要因で
この調節がうまくいかなくなると、血液中のコレステロール
(LDLコレステロール=悪玉コレステロール)や
中性脂肪(トリグリセライド)が過剰に増えたり、
逆に善玉のHDLコレステロールが不足したりする状態になります。
これを総称して脂質異常症(旧称:高脂血症)と呼びます。
脂質異常症そのものは自覚症状がありませんが、長年放置すると
余分な脂質が血管壁にこびりつき、動脈硬化を進行させます。
イメージとしては、油汚れが血管内に蓄積して配管が狭く
詰まりやすくなるようなものです。心臓や脳の血管が詰まると
心筋梗塞や脳梗塞といった深刻な病気の原因になります。
脂質代謝異常の主な原因も食べ過ぎ・運動不足による肥満や、
脂肪分・糖分の多い食生活です。
「甘いものの過剰摂取→中性脂肪の増加」
「揚げ物や肉のとりすぎ→コレステロール上昇」
といったパターンです。
また肥満になるとインスリンの働きが低下し、血中に余った
脂肪酸が中性脂肪に再合成されて蓄積するため、
高血糖(糖代謝異常)と高脂血症(脂質代謝異常)はセットで
起こりやすい傾向があります。
このような糖・脂質代謝異常と高血圧などが重なった状態が
メタボリックシンドロームで、放置すると動脈硬化や糖尿病を
招くリスクが高まります。
自分では「代謝が落ちて太りやすくなったかな?」程度の自覚でも、
実際には上記のような変化が体内で進行している可能性があるため、
健診結果で血糖値やコレステロール値に注意を払いましょう。